生活臭さはないけれど生活のにおいはある家。
「こんにちわぁ」語尾がのびて気持ち下がる、独特のメロディを持つ関西なまり。私たちがお店に入ると、ちょうど外から戻ってきたばかりのご主人、続いて奥さんが、親しげなあいさつ(人なつっこい笑顔付き)で迎えてくれる。「あのう」と思えば、何か重大な告白をするかのような表情になる奥さん「ちょっとまず、歯磨いてきてもいいですか?カレーうどん食べてきたんで」。私たちがもちろんと言うと、また笑顔に戻り、お店のまんなかにあるドアを開けて中に消える。階段を勢いよく駆け上る、トントンという音。ほどなくしてどうぞ、と通された、ひみつの扉、ひみつの階段。その向こうには……あれプライベートなはずなのに、ここもお店?と目をごしごしこすりたくなるような、すごい空間が広がっていた。家具のすてきつぶりはもちろんだけど、置いてある小物や日用品ひとつとっても抜かりなく、すみずみまで、あたたかなセンスで統一されている。だけどインテリア雑誌に出てきそうな、非日常な感じとはぜんぜん違う。そこに生活臭さはないけれど、ただ生活のにおいはちゃんとある。そんな感じ。この空気感、この質感。何かに似ているなあ、と思っていたら、『トラック』の家具の材料でもある、無垢の木のそれだった。